素材は土なので…。

今日、鬼師(鬼瓦職人)たちはいつもの工房ではなくて
ちょっと雑然とした薄暗い倉庫の片隅での作業でした。

ご依頼頂いている壁面用の板瓦を製作中です。
既成の敷き瓦とは違うサイズなので手作りになります。

手作りと言っても、四角に切るだけなんですが…
実はこういう単純な物が結構職人泣かせなのです。
鬼瓦のような造形とは違って、非常に繊細。
直線のみなので荒があると目立ってしまいます。
今回は設計士の方にこだわりがあるようで、
面の取り方にも注文が付きました。
神経を使う作業ですが、何とか前に進んでいます。

さて、今回一番手間取っているのが成形よりも、寸法。
出来る限り誤差の無いようにという先方のご要望です。
焼き物なので多少の誤差はご了承下さいとは言ったものの、
多少で済むかどうか…。

下の写真は、試験的に先に作っていた瓦。
下の木の板が荒地(焼く前、乾燥していない状態の粘土)だとすると
焼き上がりはこんなに縮みます。
通常、鬼瓦などを作るときは、収縮率を7%みて予めその分大きく作ります。

今回、製品が比較的大きめな板瓦なので試しに通常通り7%で作ってみると
やっぱりうまくいきませんでした。
縦と横での収縮率が随分と違いました。
これを踏まえて製作に入っています。

ただ、荒地の寸法が揃っていても、乾燥の具合や
焼成時、窯の中での置く場所によっても
上がりの寸法が微妙に違ってきます。
なので誤差なくと言うのはやっぱり難しいです。

微妙な寸法の違いや、チョッとした歪みが手作り感があって良いという事で
ご使用いただくことが多いので、今回はその逆で困惑していますが、
出来るだけのことはやろう!と言う事で鬼師達は頑張っています!

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